赤ちゃんの粉ミルクは、常温水でも比較的簡単に溶かす事が出来ます。
ミルク自体を飲ませる時には、人肌程度の暖かさがあれば大丈夫なことを考えると、熱いお湯ではなく50度くらいでも良さそうですよね?
しかし粉ミルクは70度以上のお湯で調乳しなければいけません。
この記事では、なぜ70度以上のお湯で溶かす必要があるのかをご説明したいと思います。
ミルクは熱湯ではなく70℃以上の温度で作る理由
粉ミルクは安全性が高いイメージがありますが、実は無菌でなく「サルモネラ菌」や「サカザキ菌」が混入している可能性があります。
もちろん製造過程で入り込む事はありませんので、ミルクを開封後に空気中から入り込んでしまうとされています。
特にサカザキ菌は未熟児や免疫不全児、低出生体重児などの場合、敗血症、壊死性腸炎、髄膜炎などを引き起こす原因となる菌なので注意が必要です。
この2つの菌を殺菌する事が出来る温度が、70度以上のお湯とされています。
実際には80度以上のお湯を使用するのが望ましい
ここで注意したいのが、実際に調乳する温度は80度以上が望ましいと言う事です。
と言うのも粉ミルクを調乳する場合、自然と温度は10度程度低くなってしまうからです。
そのため万が一サカザキ菌などが混入すると、70度ちょうどのお湯では十分な殺菌が出来ない可能性があります。
ミルクの栄養が熱湯だと壊れる?
一般的には熱湯でミルクを作る方が大半だと思いますが、気になるのが高温すぎると粉ミルクの栄養素が破壊されてしまうのではないかと言う事ではないでしょうか?
確かに熱湯で調乳すると僅かではありますが、粉ミルクの栄養が損なわれる事はあります。
しかし、大半の栄養素に関しては熱湯を使用しても問題ありません。
あくまで「理想は80度のお湯で使った方が良い」という程度ですので、そこまで神経質になる必要はありません。
湯冷ましでミルクの温度調整をする
熱いお湯で調乳をすると、人肌まで冷ますのに少し時間がかかってしまいますよね?
流水で冷ましたとしても、1~2分程度必要となります。
そこでおすすめなのが「湯冷まし」を使って、ミルクを冷ます方法。
少なめのお湯で粉ミルクを作り、完全に粉ミルクが溶けてからぬるめの湯冷ましを注ぐようにすると一瞬で人肌まで冷めてくれます。
粉ミルクは溶かすまでは70度のお湯を使う必要がありますが、完全に溶けきってしまっていれば後はぬるま湯を使っても問題ありません。
最初のお湯によって菌はしっかり殺菌する事が出来ていますし、あとは飲みやすい温度にすればOKです。
湯冷ましとは?
ミルクを冷ますのに適している「湯冷まし」は、
- 煮沸消毒して冷ました水道水
- 軟水のミネラルウォーター
- 軟水のウォーターサーバー
のいずれかを使用するようにしましょう。
水道水を使うと安く作る事が出来ますが、手間がかかるのであまりおすすめ出来ません。
ミネラルウォーターであれば開封したものをそのまま湯冷ましとして利用できるので、まとめ買いをしておくと良いでしょう。
但し、水道水の湯冷ましにしても、開封後のミネラルウォーターにしても、空気中の雑菌が混入するので必ず冷蔵保存する事とその日中に使い切る事が大切です。
ミルクを作る時はウォーターサーバーがおすすめ
ミルクを作る時に、80度の温水を毎回作るのは若干手間がかかりますよね。
そこでおすすめしたいのが、ウォーターサーバーを使う事です。
ミネラルウォーターは、開封した直後から外気に含まれている雑菌の影響を受けてしまいます。
また沸騰させてから30分以内で使い切るように、厚生労働省のガイドラインに明記されています。
しかし無菌状態を保っている高機能ウォーターサーバーであれば、雑菌の心配もなく、温水の温度も80度~90度とミルク作りに最適な温度設定になっています。
また、温水で完全に粉ミルクが溶けた後であれば、ウォーターサーバーの冷水を湯冷まし代わりに使用しても大丈夫。
ウォーターサーバーの冷水は湯冷ましに比べると温度が一定に保たれているので、毎回同じ割合で作る事が出来るのもメリットの一つです。
ミルクを熱湯と湯冷ましで作る割合
仮にミルクを溶かすお湯の温度が80度(溶かす時に70度まで下がると仮定)で、湯冷ましの温度が20度だとすると人肌の40度になるお湯と湯冷ましの割合は、2:3になります。
但し実際には湯冷ましの温度は外気の影響を大きく受けるので、1:1くらいの割合で作り、少し流水で温度調整するくらいの方が安全です。
また、粉ミルクを溶かすお湯の量が少なすぎると、完全に溶けきれていない事があるので注意しましょう。
ミルクの作り方(調乳方法)
赤ちゃんのミルクの作り方(調乳方法)の手順は、
- 手を綺麗に消毒する
- 器具をそろえる
- 器具の消毒をする
- ミルクを哺乳びんに入れる
- 70度以上のお湯でミルクを溶かす
- ミルクを人肌まで冷まし、温度を確かめる
となっています。
1.手を綺麗に消毒する
基本的にミルクを作る前には手を石鹸できれいに洗い、ミルクを作る場所も清潔な状態にしておきましょう。
2.器具をそろえる
哺乳瓶や乳首、粉ミルク、スプーンなどを揃えます。
3.器具の消毒をする
調乳に必要な器具は煮沸消毒か、電子レンジ消毒、薬剤消毒のいずれかで消毒をします。
粉ミルクを作った後、つい計量スプーンをそのまま入れっぱなしにしておく事がありますが、これはNGな行為ですので止めましょう。
4.ミルクを哺乳びんに入れる
消毒した哺乳瓶に粉ミルクを適量入れます。
5.70度以上のお湯でミルクを溶かす
粉ミルクを溶かして殺菌するために、70度以上のお湯を注ぎます。
この時ガラスの哺乳瓶はかなり高温になるので、火傷には十分注意しましょう。
粉ミルクを溶かす時には、哺乳瓶で円を描くように攪拌すると綺麗に溶けてくれます。
良く哺乳瓶を思い切り振る人がいますが、振ってしまうと泡立ってしまい赤ちゃんがミルクを飲みにくくなるので止めましょう。
6.ミルクを人肌まで冷まし、温度を確かめる
最後に人肌になるまで流水で冷やし、作ってから2時間以内に赤ちゃんに与えるようにします。
残ったミルクは、冷蔵庫で保管などはせずに必ず廃棄するようにして下さい。
まとめ
粉ミルクの作り方で注意する点は、70度以上のお湯で溶かす事です。
粉ミルクは無菌ではなく、空気中の「サルモネラ菌」や「サカザキ菌」に汚染されるケースがあるので温水で溶かす必要があります。
粉ミルクを作る際には、手や器具をしっかり消毒して、火傷に気を付けながら調乳するようにして下さい。
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